港町 I

 

 

水底深く沈み込む地形のおかげで、
海辺は水上船の港として、
海から吹き上げてくる強い風のおかげで、
中腹は飛行艇の港として、
内陸に繋がる街道のおかげで、
頂上台地は鉄道集荷場として、
街は、古くから繁栄してきた。

それぞれの港やターミナルを往来する荷と人びとを
市電や架線車が運びます。
麓から頂上まで、
街中に張り巡ぐらされた坂道は、
市電の軌道と人の為の石段が狭い場所を共有しています。
両者は互いに譲り合いながら共存しています。

飛行艇から街に入ると、
一部の隙もなく平石を積み上げた建築群の見事な眺めが楽しめます。